構造物維持保全技術協会 第八回定例会 会議のご報告

開催⽇:2026年(令和8年)6月12日(金)16:30 
場 所:品川グランドセントラルタワー&スギテック社(オンライン)

一般社団法人としての新体制と、維持保全分野におけるデジタル技術の普及に向けて

2026年6月12日、構造物維持保全技術協会 ST-Aの第8回定例会を開催しました。
今回は、対面およびオンラインを併用し、これまでの活動報告、一般社団法人化に伴う新体制、今後の技術普及・教育体制の構築などについて意見交換を行いました。

建物調査・維持保全業務の効率化に向けた活動

定例会では、建物調査や維持保全業務におけるデジタル技術の活用について、現在進めている取り組みが共有されました。

現場では、写真整理、手書き野帳の転記、報告書作成など、多くの事務作業が発生します。これらの業務負担を軽減し、調査品質の向上と効率化を図るため、ST-Aではデジタル技術を活用した業務改善の提案を進めています。

また、2026年7月23日に開催予定の「建物調査・維持保全管理業務の効率化」をテーマとした無料説明会についても準備状況が報告されました。単なる製品紹介ではなく、現状業務にかかる時間やコストを可視化し、デジタル化による改善効果を具体的に確認できる内容を予定しています。

行政・自治体との技術協議

活動報告では、自治体との技術協議についても共有されました。

外壁点検業務においては、赤外線調査などの成果品にばらつきが生じやすいことが課題のひとつです。ST-Aでは、撮影条件や判断基準、報告書の整備、機材選定などについて意見交換を行い、より安定した品質で点検業務を実施できる仕組みづくりを目指しています。

特に、赤外線調査では単に温度差を見るだけでなく、日射量や撮影タイミングの判断が重要となります。こうした実務上のノウハウを整理し、点検仕様書や業務基準への反映を目指していく方針です。

一般社団法人としての新体制

2026年5月18日付で、ST-Aは「一般社団法人 構造物維持保全技術協会」として正式に登記されました。

今後は、維持保全分野におけるデジタル技術の普及、技術者育成、業界標準化に向けた活動をさらに推進していきます。

新体制のもと、会員企業が持つ知見や技術を共有し、実務に活用できる形での情報発信、教育コンテンツの整備、ライセンス制度の構築などを進める方針が確認されました。

教育・ライセンス制度の構築へ

定例会では、今後の重要な取り組みとして、教育・ライセンス制度の構築についても議論が行われました。

デジタル技術やAI解析を活用した点検・調査手法は、今後ますます重要性が高まる一方で、正しい知識と判断力を持った技術者の育成が不可欠です。

ST-Aでは、実務者向けの講習や教育資料の整備を進め、国や各種ガイドラインの考え方に沿った、信頼性の高い技術者育成を目指します。

スマートシリーズと次世代技術の共有

技術・ソリューションに関する報告では、スマートシリーズの活用や、今後開発を進める次世代技術について共有されました。

「Smart ST」は、タブレットを活用したデジタル野帳として、現場での記録から報告書作成までを効率化する仕組みです。手書き記録の転記ミスや写真整理の手間を削減し、調査業務全体の省力化に貢献します。

「Smart Tile Saver」は、赤外線画像をAI解析し、外壁タイルの浮き判定を支援する技術です。属人的になりやすい解析作業をデジタル化することで、判断の均質化と作業効率の向上を図ります。

また、ひび割れの自動抽出・マッピングを行う「Smart Crack Checker」や、Smart STとSmart Tile Saverを統合した次世代ソフトの開発構想についても共有されました。

さらに、ドローンの飛行が難しい環境での点検を想定した壁面走行ロボットや、都市部・高層建築物での安全な点検を目指すラインドローンシステムなど、今後の維持保全分野を支える新たな技術についても意見交換が行われました。

今後に向けて

ST-Aでは、一般社団法人化を機に、会員企業同士の連携をさらに深め、建物・構造物の維持保全に関する技術の普及と標準化を進めてまいります。

今後も、現場の課題に寄り添いながら、デジタル技術、AI解析、ロボティクスなどを活用し、より安全で効率的な維持保全の実現に向けて取り組んでまいります。

次回の第9回定例会は、2026年7月31日に開催予定です。